ピックアップアーティスト

アーティストバンクに所属する人たちは、みんな類い希なる才能の持ち主ばかりです。
ここでは、毎回一人のアーティストをクローズアップ! 彼らの魅力とその作品を紹介いたします。

第6回
idogaeru(イラストレーター)

ストリート系の若手アーティストの作風といえば、idogaeru君のようなタッチが主流だと思っていたけれど、そんな彼もいつの間にか “ 兄さん ” の域に。彼は昔からとにかく一徹君で、絵を描くことに対する情熱もすごかった。 私が彼と出会ってからの約10年の間にも、彼は相当な勢いで相当な枚数の絵を描きまくっていたし、作品が出来上がる度に見せてくれる絵にはいつも何かくっきりとした変化があってワクワクさせられた。そしていま、これまでとはまた違ったidogaeru流タッチをどんどん確立しているのを感じる。
近年の作品の中でも、とくにパワーを注ぎ込んで描き上げられた作品が、今回ご紹介する作品の一番最初にあがっている縦型のイラストレーションだ。これは毎年「昭和の日」に、大阪市阿倍野区の昭和町駅周辺で行なわれる「どっぷり昭和町」というイベントの宣伝ツールのために描きおろされた。 ちなみに昭和町は私が生まれ育った町だが、地名のとおり昔ながらの昭和の風情がじんわりと残っていて、私が幼いときに感じていた独特の空気感さえ、いまもあまり薄れていないよう思う。 私が住んだ築80年ほどの古い家はつい最近なくなってしまったけれど、こうして知り合いのアーティストによって慣れ親しんだ町が作品になるなんて、ちょっと不思議な気分だったりする。 そして、ヤンチャな色合いとアーティスティックな作風を持った彼が、人情味あふれる大阪の下町を描くと、こんなふうに仕上がるんだ、と目からウロコというか、よく知る彼の絵が改めて新鮮な印象に映った。
さて、ポカポカと春の陽気が心地いい季節、昭和町へ繰り出してみませんか?
“ いまどきの昭和な町 ” に、idogaeru作品は、きっとどっぷり馴染んでいるはず。