ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!
【異世界!!楽しんだ奴が勝者だ!!!!】
あこちゃん・なっちゃんと共にモロッコのサハラ砂漠に訪れている。
8時間の車移動で抑圧されていた我々のテンションはサハラ砂漠の地でついに解放され、それはもう子供のように遊び尽くした!
同じツアーに参加している観光客がインスタ映えする写真を撮ろうと頑張る中、我々は砂漠を走り回り砂丘から転げ落ちていた。
ちなみに砂丘を転がるのは思ったよりハードな行為で、砂とはいえ身体は痛く、終わった後は口の中まで砂まみれだ。 どんどん加速して転がる自分の身体を止めるすべなどない。
大人の砂遊びとはこのことだ!! と、童心に帰るどころかもはや童そのものになる勢いで遊び尽くし、間違いなく一帯にいた観光客の中で我々が最も砂漠を楽しんでいた!
僕がパンツ一丁で踊っていた時には周りの人が動画を撮りにきたほどだ。 どんなコメントを付けてSNSに上げられたかは分からない。
そんな我々もさすがに遊び疲れ、砂丘の上から砂漠を見渡していると…
すごい量の煙が風上から流れてきてる!! 運良くこちらに煙は来ていないが…
たーまん「何この煙…焼き畑か?」 なっちゃん「こんなとこに畑なんてないでしょ」 あこちゃん「キャンプファイヤーかな?」
気になった我々は煙の元に向かってみたのだが…
普通に火事だった。 近くにあるキャンプサイト?なのか、とにかく建物が燃えている! 火はどんどん燃え広がって真っ黒な煙を吐き出し、暗くなり始めていた砂漠でめちゃくちゃ目立っていた!
たーまん「これやばくない!!?」 あこちゃん「中に人いる!?」 なっちゃん「流石にいなさそうだけど…」
しばらく眺めていたが人が出てくる気配もないので避難済みなのか自然発火なのか… いずれにせよ消防車が来れるような場所ではない。 自然発火だとしたら、建物に戻ってきた持ち主は全焼した建物を見て仰天するだろうな…
その後運転手さんに火事のことを話してみたけどめちゃくちゃ反応が薄い。 乾燥してる砂漠じゃ火事は珍しくないのかもしれない。
結局火事の答えは分からぬまま、僕らは少し移動して本日の宿であるテントサイトへと到着した。 砂漠の上に、一応ちゃんとした壁と天井のある小さなテントのような建物が、いくつか半円状に並んでいる。 部屋には一応ベッドがあるものの入り口部分にドアはなく、天井からかけられている数枚の布がドアの代わりをはたしている。
用意してもらった料理を外で食べていたのだが…… 日が暮れると急激に外が寒くなってきた!! 昼間はあんなに暑かったのに!!
民族衣装でほぼ布1枚の僕らはたまらず煮込み料理を持ったまま部屋に逃げ込んだ!! 2人は着替え、僕は慌ててウルトラライトダウンを着込む。
たーまん「そういえば砂漠の夜は寒いって何かで聞いたことあったわ…」 なっちゃん「ほんと突然気温下がったね」 あこちゃん「確かに…まぁ、ビールじゃなくて良かったってことじゃない?」
ここであこちゃんがビールの話をしたことには理由がある。 そもそも僕が2人のアフリカ旅に合流したのは、あこちゃんから「満点の星を眺めながら砂漠に寝転がってビールを飲む」という最高の誘い文句を投げかけられたからなのだ!!
モロッコには酒が売っておらずビールが手に入らないという事件が起きたものの、なっちゃんが買ってきてくれたワインがまだ残っている。
たーまん「食べ終わって温まったら外でワイン飲もうか!!」
僕らはワクワクしながら煮込み料理を食べ終わり(空になった食器は僕が運ばされた)たいして暖かくもない部屋の中で暖をとった。
そして時は来た!! ついに我々は部屋の外へ!! めちゃくちゃ風が強い!! けど…確かに星はすごい綺麗!!
あこちゃん「ちょっと暗いところ行ったらもっと見えるんじゃない?」
ということで我々はテントサイトから離れどこかの砂丘へ。 真っ暗な砂漠で見上げる星空は今まで見たどんな夜空より綺麗だった!!!
綺麗だねー、と言いつつ、寒いのでさっさとワインを飲む。 グラスもないのでボトルごと回し飲みだ。 しばらく話をしながら寝転んでいたのだが…
最初に限界が来たのはなっちゃんだった。
なっちゃん「私もうダメだわ。寒すぎる。」 たーまん「諦めるな!きっと飲み続ければ温かくなってくる!!」 なっちゃん「いやあんた震えてんじゃん!!」
開放的なイメージとは違い、どちらかというと挑戦と祈りに近い時間が過ぎていた。
あこちゃん「けどこれ寒すぎるよね」 なっちゃん「うん、これからもっと温度下がるとか恐怖感じる」 たーまん「諦めるな!!」 なっちゃん「だから震えてる奴が何言ってんの!!」 あこちゃん「どうせ寒いなら朝日見るのはどう?太陽なら温度は上がってくし」
という提案で、当初思い描いていた満点の星空ビールは、想像をカケラも実現することなく幕を閉じたのであった… しかし、当初思い描いていた状況の何倍も今楽しめているので、これで良いのだ!!
真っ暗な中テントサイトを探して戻り、明日の朝日を見るために僕たちはさっさと眠ることに。
(実はこの時真っ暗過ぎてすぐにテントサイトに帰れなかったことが最も怖かった。 こんな広大で過酷な環境の中、違う方向に進んでしまったら即遭難だ。命に関わる。)
いつも最初に起きるのはあこちゃんだ。 彼女は眠りが異常に浅い。(こんな部分も世界最弱バックパッカーである。)
たーまん「あこちゃんマジで起こしてくれる?疲れてて起きれる気がしない」 なっちゃん「私も。太陽見たいからマジでお願い」 あこちゃん「いいよー」
そんなやり取りをして眠りについた。
ーー数時間後ーー
あこちゃん「2人とも!!朝だよ!!朝日行くよ!!」 たーまん・なっちゃん「……………うん…」
たーまん・なっちゃん「………………」 あこちゃん「…なんでそんな迷惑そうな顔されなきゃいけないの!?」
まだまだ寒い外に出て、昨夜と同じ砂丘の上で太陽を待つ。 空は霧がかかったようにぼやけていて、太陽が見れるか不安だったのだが、少しずつ日が上がってきた!!
あこちゃん「え、すごい!!!!」 たーまん「何これ!!!!」
太陽が登ると同時に確かに空は明るくなっているのだが、肝心の太陽が全く輝いていない!!! 霧か、もしくは舞い上がってる砂の影響なのか? 白くて、まるで木星のような太陽が東から登ってきたのだ!!!
あまりの儚げな美しさに…
なっちゃん「………あの地平線〜…」 たーまん「か〜が〜やく、のは〜…」
なっちゃん・たーまん「どこか〜に君を隠しているから〜♪」
我々は自然とラピュタを歌っていた。
全く予想外だったが、とても美しく幻想的な光景だった。 輝きを放つよりも幻のような太陽の方が、砂漠の朝にはよく似合っていた。
つづく