たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.78

モロッコ_ フェズ旧市街地②

【砂漠での買物!!デカい主人よりも強い旅人!!!!】

トマティーナで出会ったあこちゃん・なっちゃんと共にモロッコの迷宮都市「フェズ旧市街」に来ている。
この街を拠点にして次に目指すのは遂にサハラ砂漠だ!

たーまん「どうやって行く?」

2人は僕と違いしっかり旅の予定を立てるタイプなので、僕は2人のアフリカ旅プランに乗っかりきっていた。

なっちゃん「サハラはツアーとかじゃないと行けないみたい。
砂漠とかどうやって行ったら良いか分かんないしね。安いとこ見て参加しよう」

たーまん「なるほど」

街中にある宿でツアーの予約を取っていることを知った僕らは、安いツアーを求めて旧市街の主な宿を巡ってみることに。

旧市街には本当に様々な店があって面白い。
フルーツや服屋があってまるで巨大な市場のように思えるが、なんとこの街には115万人もの人が住んでいるらしい…
もうこの街だけで完全に経済回ってるし欲しいものなんでも手に入る。

と、そんな時…

あこちゃん「やっぱり私もなつに合わせて買おっかな」
なっちゃん「何を?」

あこちゃん「服。」
たーまん「え、また!?」

実は前に訪れた“青の街”ことシェフ シャウエンにて、なっちゃんは青い民族衣装を買っていたのだ。
日本の風景に着物が似合うように、確かに街並みにぴったりの服装だった。
そもそもあこちゃんがシャウエン用に新しい服を買った。ということでなっちゃんはその服を買ったのだけど…

あこちゃん「3人であれ着て砂漠歩くの絶対最高だよ!!」
たーまん「え、俺も!?」

え、俺も!?

あこちゃん「けどさ、ここでしか着れないし、お揃いの方が楽しいよ。」
たーまん「俺はでも荷物が…う〜〜ん……」

たーまん「買うわ。」

買うことにした。

一応この時 「持ってるシャツじゃ暑いから涼しい服を…」とか「パジャマにできるし…」
という言い訳を自分に言い聞かせていたのだが、別に何か理由がある訳ではなく、ただシンプルに欲しかった。

僕もなっちゃんが着てるのを見た時からちょっと羨ましいと思ってた。

ディズニーランドでどうしてもミッキーの耳を付けたくなる気分に似てる。

なっちゃん「いいねー!買いなよ!」

なっちゃんもとんだムーブメントを生んでしまい上機嫌だ。
宿を巡ってツアーの内容を比較しつつ、街を歩いて観光しつつ、お気に入りの民族衣装を探すという内容の濃い時間が出来上がった。

一般的に観光地に置いてあるエセ民芸品やエセお土産品は大量生産されていて、どこの店でも同じようなものが置いてあるケースが多い。
ここフェズ旧市街も世界遺産なだけあってかなりの観光地のはずだが、服屋さんに置いてある服にはお店によってかなり特徴があり、装飾されている模様にも個性がある!

僕は最初に入ったお店で見つけた赤と金の服が気に入ったのですぐに購入!

お値段は数百円!装飾部分は裁縫の糸がチクチクしていたけれど、驚くほど着心地が良くとても気に入った!
民族衣装なだけあって気候にピッタリ!涼しく動きやすい!
この後の旅でもしばらく着続けることになった。

時間がかかったのはあこちゃんだ。

あこちゃんはまるで敏腕バイヤーのように店に積まれた服を物色し、彼女のセンスに引っかかるものを探していた。
しかも全ての服の値段を正確に覚えているのだから驚きだ。

彼女は迷宮都市と呼ばれるこの街の服屋という服屋を見て回り、普段は一切ないはずの方向感覚をフル活用して“候補入り”した服のある店をピックアップしていった。

僕は彼女の後ろを歩きながら、母親に連れ出されたショッピングマートを思い出していた。

もう辺りも暗くなった頃…

あこちゃん「決めたわ。あそこの店のピンクにする!!」
たーまん「えーーー!!!戻るの!?」

とは言ったものの、気に入ったものが見つかって心底ホッとしていたのだが…

しかしここからが世界最弱バックパッカーあこちゃんの本領発揮であった。

こういった観光地のお店では商品に値段は記載されておらず、観光客はぼったくられるので交渉して値段を下げてもらうのが基本だ。
向こうもプロ。
こちらの懐事情も見抜いて最初の値段を提示してくる。
(※なので僕くらい薄汚れて店に入ると、最初から現地価格を要求されることもある。)

大体両者の希望金額の真ん中くらいに落ち着くことが多いのだが…

ネゴシエイターあこは提示した最初の金額を譲らない!!!!

自分の倍ほどのデカさの現地商人を相手にここまで交渉できる日本人が他にいるだろうか!
しかも要求している価格は他の店の4分の1以下!!!!
もはや店主に同情したい!!!

しかもネゴシエイターあこは「No」「(金額)」この2種類しか単語を使わない。
彼女は英語が堪能ではない。

ていうか気づけば既に服も着てる。
え、何それ君の服?

しばらくやり取りが続いた後…

あこちゃん「分かった、じゃあ買わない。帰るね。」
店主「待て待て待て!!分かった、分かったよ……もう負けたよ。」 ネゴシエイターあこ、勝利の瞬間である。
全力でバトルし合った2人には謎の友情が芽生え、まるでスポーツ選手が互いの健闘を称えるように肩を組んで写真を撮ったのであった。

「あなたにとって、プロフェッショナルとは?」
戦利品をそのまま着て帰る彼女の背中には、ついそんな質問を投げかけたくなる。

ちなみにサハラ砂漠のツアーは、僕らが泊まっている宿が出していたものが一番安く内容も充実していたので、結局帰ってから泊まっていた宿で申し込んだのであった。

つづく