たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.72

モロッコ_シャウエン編①

【緊急事態!!迫り来る文化の壁!!!!】

トマティーナで出会ったあこちゃんと共に、モロッコ最大の都市カサブランカから“青の街”ことシェフ シャウエンへ向かう予定だ。

その前にあこちゃんの服を買いにショッピングセンターに来ているのだが、そろそろ予約した長距離バスの乗車時間が迫っている!
ここからUberタクシーで向かうことを考えると結構ギリギリだ!!

あこちゃん「遅くなっちゃった!時間やばいね、行こうか!」

たーまん「急ごう!けどその前にピザだけ食べて良い?」

あこちゃん「え、ピザ!? 今!?」

いや分かってる!
めちゃくちゃタイミング悪いことはわかってるけどそれ以上にめっちゃ腹減ってんのよ!!
ひたすら服の話聞いてたけど後半はずっと入り口にあったピザ屋のこと考えてたのよ!!

たーまん「すみません、このXLサイズ下さい。あこちゃんどうする?」
あこちゃん「待ってこれめっちゃデカいよ!? 食べられないでしょこれ!」
たーまん「いやこれくらい余裕で食べれる。めっちゃ腹減ってる。」
あこちゃん「私じゃあこれ1キレちょうだい」
たーまん「いいよ!テイクアウトでお願いします」

コメディ映画で見るようなどデカいピザをテイクアウトした我々は急ぎバスセンターへ向かった。

バスに乗る前にサクッと食べちゃわないと!
いただきます!!

たーまん「…………」

あこちゃん「だろうね!!まだ3キレしか食べてないよ!?」

そんなバカな…
今にも餓死寸前かと思えた僕の胃袋はピザ3キレでパツパツになってしまった…

あこちゃん「絶対食べれんと思って私買わなくて良かったよ…」
たーまん「いや俺もこれくらい余裕やと思ってたんやけど…」
あこちゃん「バス来ちゃったけどどうするの?」
たーまん「…………」

結局ピザはセンターで別のバスを待ってた兄ちゃん3人組にあげることになった。
こういう時普通に「ありがと!」って受け取ってくれるのが良いところ…
だって日本だったら怪し過ぎる。
「いや結構です…」て言われる気しかしない。

そんなピザ騒動を経て我々はバスに乗り込んだ。
バスの中はかなり混雑していてとにかく暑い!
少しだけ開く窓からなんとか新鮮な空気を吸いつつ、出発してから5分ほど。
新たな事件は起きた。

あこちゃん「だめだ酔った」

え、よわっっっっ!!!!!
まだ全然進んでねえよ!!

この後から少しずつ判明することなのだが、あこちゃんは乗り物にとにかく弱い!!
車酔い、船酔い、飛行機酔い、ハンモック酔い、ブランコ酔い、画面酔い、などなど…
更にはすぐ食中毒になったり方向感覚が皆無だったり、圧倒的にバックパッカーに不向きな体質をしている。

最終的についた二つ名は『世界最弱バックパッカー』。
これは決して貶している訳ではなく、そのポテンシャルでもなお旅を続ける彼女の精神力に敬意を込めた表現である。

たーまん「マジか、まだあと数時間あるけどどうする?降りる?」
あこちゃん「いや眠りさえすればいける」

さすがは世界最弱バックパッカー。
驚異の精神力。

僕は乗り物酔いしたことがなくまるで分からないのだけど、普通スタートから5分で酔って、そこから更に5時間バス乗れるものなの…!?
ていうか眠りさえすればいけるものなの…!?

やはり1人で世界を旅してる人、というのは何かしら強過ぎる芯を持っているようだ。

そんなこんなでバスに揺られること5時間ほど。
バスは既にすっかり夕方のシェフ シャウエンに到着した。
(あこちゃんはマジで寝ていた。)

降り立った我々は翌日合流する、同じくトマティーナで出会ったなっちゃんの為にビールを買っておこうと小売店を巡りつつ宿へと向かう。

…が、どこにもビールが売ってない!
ていうかビールどころか酒が全然売ってない!

たーまん「どこにも酒がない…酒屋、みたいのが別にあるのかな?」
あこちゃん「かもね…でもとりあえず宿に売ってるんじゃない?」

そこで宿にチェックインした我々はスタッフさんに聞いてみることにした。

たーまん「ちなみに、ここでビールは売ってますか?」
スタッフ「いや売ってないよ、どうしても飲みたいなら山の上にあるホテルに行くしかないね」
たーまん「売ってないの!?」

そこでようやく気づいた!!
モロッコはイスラム教徒、ムスリムたちの国なのだ!!
誰も酒を飲まないから当然売ってない!観光客の来るホテルでのみ売ってるという訳だ!

盲点すぎた!!!
そもそも“酒好き”が共通点である我々3人からお酒を取るなんて残酷すぎる!!!

たーまん「とりあえずそのホテルに行こう!」

焦った僕たちは急いでUberタクシーに乗り込み、結構距離のある山のてっぺんまで向かってみたのだが、ホテルに併設されていたのはバーであって酒屋ではなかった。

しかしバーテンダーさんに相談してみると、普段はグラスに入れて提供しているらしいビールをこっそり瓶のまま売ってくれた。
(おそらく代金は彼のポケットに入っていることだろう。)

その数4本。
まだまだ遊び足りないモロッコでの日々を想うと心許な過ぎる量である。

どうするか…とホテルを出たその時!
僕たちの眼前に、とても美しいシャウエンの夜景が飛び込んできた!!!
来た時には背中側に位置していて気付かなかったが、随分山を登ってきたので街が一望できる!

……山上のホテルから見える美しい夜景が僕らに語りかけてくれる…

そうだ…良いじゃないか…

この美しい景色と心優しい人々…そしてこの素晴らしい文化を肌で感じられれば…
お酒のない国でお酒を飲みまくろうだなんて…僕らはなんて汚れた人間なんだ…
共に酒を絶つことこそ…文化を肌で感じるってことじゃないか…

………僕たちはなっちゃんにLINEを送ることにした。

『緊急事態発生!!入国する前に買えるだけの酒買ってきて!!!』

つづく