【生きるか死ぬか！！暴れ狂う牛から逃げ抜けろ！！！！】

スペインはロス・レイエスで「牛追い祭り」に参加中。
僕は地元ベテラン勢のアドバイスに従い、スタート地点付近で待機していた。
走り始めはまだ牛のスピードが緩く、初心者でも参加しやすいそうだ！

そのことをみんな知ってるのか、ゴール付近に比べて人の数が多い…
かなりの緊張感が漂っている！！

救急車も待機し始めた。
僕もハッピのすそを結んで準備する。ヒラヒラ目がけて突っ込んできたら怖いし…

たーまん「牛がいつ頃くるか知ってる？」
参加者A「合図の音がするよ。牛が見えたらすぐ走れ、一瞬で目の前に来るぞ」
たーまん「オーケー」

参加者B「俺は闘牛場まで走るんだ」
たーまん「え、マジで？」
参加者B「去年も走った。今年もやるぞ」
たーまん「すげぇ…」

最初の内は他の参加者たちと話をしていたが、だんだんみんな話をしなくなってきた。
僕もさんざんやったストレッチをまたやり始める。

たーまん（自分の前に人がいて思うように走れない、てのは避けたい…
でも前だと牛がどこにいるのか分からんまま体力を消耗することになる…
後ろで牛と近すぎるのも嫌だし…狙うはグループの中間くらいかな…）

自分はどれだけの距離と時間を全力疾走できるのか…不安なのは持久力だ。
作戦を考えていたその時…

パァァン！！！！

乾いた音が響いた！！！
牛小屋から牛が放たれた合図だ！！！！

「「「おおおおおおおおおおお！！！！！！」」」

観客席が盛り上がる！！
パパさんも近くで動画を撮ってくれてるはずだ！！

みんな臨戦態勢に入る！！が、まだ牛の姿は見えない！！
前に人がいて分からないので、みんな牛を確認しようとその場でジャンプする！！

ガランガランガランガランガラン……！

追い立てる鈴の音なのか？それとも首輪なのか？
よく分からん金属の音が遠くから聞こえる。

僕も息を整えながら牛の位置を確認しようとジャンプし続ける。

そして遠くに…

見えた。牛だ。

「「「Go Go Go Go！！！！」」」

観客が盛り上がり、参加者Bさんを含め、幾人かが走り出した！！
僕はというと…まだ走らない！！
まだ遠過ぎる！ここで走り出すのは持久力が心配な僕には早い！！！

周りがどんどん走り始める！！
ここで流されちゃダメだ！！
自分のタイミングを見極めるんだ！！

「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！」」」

ガランガランガランガラン！！

十頭以上はいるか!?という牛たちがかなり近づいてきている！！
僕の前からも人が走り始めた！！！
お前ら早く走り始めると消耗するぞ！！！

ガランガランガランガランガランガランガラン！！！！！

牛は音と共に一直線にこちらへ向かってくる！！
もうかなり近い。ツノまでくっきり見える。

もうヤバい！！！！！！！ 僕も走り始めた！！！！！！！！

走りながら、僕の後ろにもまだ人がいるはず！！！と振り返ったらあんまいねえ！！
めちゃくちゃ怖い！！！！

振り向くこともできずとにかく走り続ける！！
牛との距離は鈴の音が頼りだ！

しかし少し走るスピードが落ちてきた…！！
今牛はどの辺だ？

チラッと振り返ると、見えたのはさっきまで僕の横を走ってたおっちゃんを一頭の牛が振り飛ばした瞬間だった！！！

たーまん（うおおおおおおおおヤベええええええええええええ！！！！！！）

ビビり倒した僕はすぐさま壁に飛び付いた！！！
その様子を見てたのであろう他の人たちも壁に飛びつく！！！

牛の目の前を走ってた人が壁に飛びつくと、一頭の牛がその人目掛けて突っ込んだ！！
え、待って大丈夫今の!?

僕の隣に飛びついてきた人も牛の目の前を走っていたが、やはりその人にも牛が角を向ける！！
ギリギリのとこまで来たけど、突進することはなく前に進んだ！！

牛たちも後ろがつかえてるので容易に止まったり誰かに構い続けたりはできないらしい。

ドドドドドドドド…！！！
ガランガラガランガラン！！！！

牛たちは僕らを通り過ぎて行った。

つづく