ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!
【牛追い祭りに参加!!問われる牛追いへの覚悟!!!!】
トマティーナで出会い意気投合したパパさんと共に、早起きして地下鉄に乗り込んだ。
これからロス・レイエスで開催される「牛追い祭り」に参加するためだ!!
例のハッピを身にまとい、気合いは十分!!
情報収集とかが上手すぎるパパさんは地下鉄の順路を完全に把握している…
いつも適当に行動する僕とは正反対だ、すごい。
駅に到着すると目の前にデカい建物が現れた!!
「闘牛場」である!!!
初めて闘牛場というものを見るけれど、思っていたよりも規模がデカい!!
甲子園より一回り小さいくらい…と言って分かる人はどれだけいるだろうか…
まぁ、ちょっとした野球場くらいあるのだ。
入り口ではチケットを売っている。僕らは早く到着したらしい。
パパさん「牛が入って行ったらそのまま闘牛場で素人闘牛をやるみたいだね」
たーまん「そうですね、めっちゃ怖いけど折角なら闘牛場まで入りたいな…最後の方でスタートすれば行けますかね!?」
パパさん「いやさすがに危なくない!?」
なんて話をしながら僕らは闘牛場の入り口から街の中へと続いている赤いバリケードの中を進んだ!
ここを牛が走るのだろう。
あ、あと追われる人も前を走るか。
観客席も結構しっかり作り込まれてる…
席もかなり多く作られているので、このベンチ全てに観客が座るなら相当な盛り上がりになるに違いない!
たーまん「このど真ん中を走るんですね…!なんかテンション上がってきました!!」
パパさん「この完全防備見てテンション上げられるのが凄いよ…受付とかするのかな?」
観客席で朝から既に酔っ払っている面々からは
「チャイナからわざわざ来たのか!?最高じゃねえか一緒に飲もう!!」
と誘われたりもしたが
「いやお前もう限界やろ何時から飲んでんねん!!」
と、ベロベロのスパニッシュガイ数人にそんなツッコミをする勇気はあるはずもなく、笑顔で通り過ぎた。
しかし実は、この事実が“ここはマイナーな場所である”ということを決定づけるやり取りだと思う。
1年に1度のビッグイベントにアジア人が来ていることを珍しいと感じる感覚…
ここがもし有名な観光地なら観光客は珍しくなく、歩いていても酒に誘われることはない!
しかもそういう場所では、一部のマナーの悪い人たちの影響もあってアジア人は疎まれやすいのだ。
しかしここではそんなことはなく、むしろ歩いてる僕らを見て喜び、歓迎してくれているように見える!!
そしてアジア人どころか観光客の姿はどこにも見えない!
普通に観光客が珍しいのだろう。
歩きながら現地の人たちに挨拶をし、ついに僕らはスタート地点の牛小屋まで辿り着いた。
たーまん「牛追いの受付はここですか?」
スタッフ「今日はフェスティバルだ!受付なんていらねえ、楽しむだけさ」
と無駄に格好良いセリフを言われ追い返された。
受付いらない金取らない。みたいなスタンスを見ても、普段観光客は来ないんだろうな…
それからしばらくパパさんと走り始めるスタート地点を相談し、やはり折角ならゴール付近からスタートしようと決まった。
闘牛場の近くまで戻ると、既に大勢の人が集まっている!!
パパさんは観客席に、僕は通路に残った。
すると…
おっちゃんA「おい、お前何してる?早くしないと席が埋まるぜ」
白い服に赤いスカーフ、伝統的な牛追いの格好をしたおっちゃん2人に話しかけられた!
たーまん「いや、俺は参加するからいいんだよ」
おっちゃんA「は!?参加する!?お前これから何をするか分かってんのか!?」
おっちゃんAは隣にいる太っちょのおっちゃんBにスペイン語で僕が参加することを伝えている。
ベテランっぽいおっちゃんBは明らかに僕をバカにしている。
どうやら彼は英語が苦手らしい。
たーまん「分かってるよ…走ってくるカウ(乳牛)から逃げるんだろ?」
おっちゃんA「はっはっはおいおい!!カウじゃねえ、来るのはブル(雄牛)だぞ!」
むっとした。
いやいや、僕の言い間違いなのだけど…
たーまん「知ってる。君たちより早く走って闘牛場まで入るよ」
おっちゃんA「……本気なのか?」
おっちゃんAとおっちゃんBは何やらスペイン語で話している。
おっちゃんBはムッとしてるようだが、おっちゃんAは僕を心配してくれてるようだ。
おっちゃんA「俺たちは小さい頃からこの祭りに参加してるから慣れてる…けど、ここは最も危険なエリアなんだ」
おっちゃんA「走り慣れてきた牛のスピードが上がり、一本道で最も早くなる。しかも道が広くて壁に飛び付き辛い。
牛がまだ走り始めて加速していない、スタート地点付近に行った方が良い。
そしていいか、どこからスタートしてもゴールの闘牛場まで行こうなんて思っちゃダメだ。
壁際を走り、限界が来る前に壁に飛び付くんだ。それでもやられる場合はある。飛び付いたら牛にやられないようすぐ腰を上げて立て!!」
たーまん「………わかった、ありがとう!牛小屋の近くに移動するよ」
めちゃくちゃ具体的なアドバイスをもらった。
どうやら僕がいたのは危険なエリアだったらしい…
(正直、太っちょのおっちゃんBよりは早く走れる気がするけど…)
正直ゴール付近からスタートして闘牛場まで行きたかったのだが、ベテランの彼らが言うことは聞いた方が良い。
そして同時に「もう限界だ、走れない!」と思った時どうするか?ということを自分が全く考えてなかったことに気づいた。
たーまん(なるほど壁に掴まるのか…)
ローカルのイベントに参加する“よそもの”として気をつけるべきことは、マナーを守って参加することと、地元の人たちの意見に従うことだ。
楽しむのはもちろんだが、あくまで自分たちは混ぜてもらってる立場であることを忘れちゃならない…
僕はちょっと反省しながら、スタート地点に戻った。
つづく