たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.16

ギリ島

【目指せギリ島!海の神との戦い!!!!】

ナツミさんと分かれた僕は猿の街ウブドの宿で一泊し、チェックアウトを済ませ、大きな荷物を背負って道に立っていた。

前日のツアーガイドの運転手さんに、オーストラリアでケータさんから教わった「ギリ三島」への向かい方を聞いたところ
「それなら港まで連れてってくれる奴がいるから紹介するよ!ギリ島まですぐだから!」
と前日に頼んで紹介してくれたのだ!

まだ見ぬ「ギリ三島」、僕は音でしか知らなかったので「ギリサン島」という島かと思っていたのだが、実際は三つに連なる諸島だそうだ。
バリ島から船に乗り2時間で行けるのは「ギリ・トラワンガン島」で、他2つの島にはそこから別の船で向かう必要がある。

道で待っていると、白いバンが目の前に止まった。
「お前がたーまんか?乗れ!」
バンの中には僕の他に7人の外国人。みんな旅行者のようだ!
バンは順調に出発!天気も良好で万事好調!!

この時はまだ…そう信じ切っていた…

バンは最初、順調に進んでいた。
かなりの悪路ではあったものの、僕を合わせて8名の観光客は自己紹介も済ませ、談笑しながら港への到着を待ちわびていた。

悪路を進むこと数時間。
港に到着したものの…

港の人「今日は船は出せない。街に帰ってくれ。」

雨は降ってなかったがどうやら風などでかなり海が荒れているらしく、船は出せないと言われた!
これに7人の外国人が猛反発!!

「ふざけるな向こうでホテルを取ってるんだ!お前返金してくれるのか!」
「他の方法を用意するのが誠意じゃないの!?」

とてつもない勢いでまくし立てる!
さすが外国人!文句の付け方に遠慮がねえ!
僕も一緒になって言ってみる!

たーまん「行ってみなきゃ分からん船を出してくれ!」

運転手さん「分かった、待ってくれ、別の港に行ってみよう。そっちなら船を出せるかもしれん。」

不安にかられ、少し静かになった一同を乗せたバンはまた悪路を進む。

場を盛り上げようと
たーまん「このままやとバンで寝ることになるね、とんだ修学旅行や(笑)」
と放ったジョークもだだスベりに終わり、普段うるさい僕まで静かになった。

そうこうしてる内にバンは別の港に到着。

港の人「今日は波が高すぎる。悪いが船は出せない。」

これはさすがにしょうがないか…
と僕は思い始めたが

「そりゃないだろ!まず金を返してくれ!」
「また明日バンに乗るの?そのお金はどうするの!?」

えっ、ちょっと熱すぎひん?
お金なんかまだ1円も払ってないのに…
これが海外流なんか…?

運転手さん「わかった!金は返す!返すから!」

えっ金返す!?
ちょっと待ってみんなお金払ってたん!?

知り合いとして紛れ込んだ僕はまだ1円もお金を払ってなかったが、みんなは船とバンのお金を事前に払っていたらしい。

あ、それでみんな怒ってたのね!?
僕これ文句言う資格ないやつね!?

と気づきつつちゃっかり僕もお金を貰い、突然文句を言わなくなっていたその時!
地元住民が乗るゆっくり進む船なら、波の影響が少なく近くの島まで行けるという情報が入った!
近くの島に移動してからは波次第で小型ボートに乗り込みギリ島まで行けるかも…とのこと。

「よし!みんなそれに乗ろう!」

と、困難な状況ですっかり団結した8人のテンションは最高潮!!
その船に乗れば5時間で近くの島まで行けるらしい!
すっかり舞い上がった我々は意気揚々と船に乗り込んだ!

そして5時間後…
船はまだ海を進んでいた。長い。ちょっと遅れてるのかな…?

6時間後…
まだ着かない。

結局船が港に着いたのは出発してから8時間後だった。
これが山手線なら暴動が起きるだろう。遅延なんてもんじゃねぇ。

たーまん「ねぇ、船から下りたらあとはボートに乗ってギリ島。もしくはこの島のどっかに泊まるってことでいいんよね…?」
外国人女性「私もそう信じてるけど、実際誰も分かってないと思うわ」
たーまん「なるほど」

降りるとすっかり外は暗く、連れて行かれた真っ黒な海に浮かぶボートは壁と屋根はあれど頼りなさを絵に描いたようだった。
4人ずつに分かれてボートに乗り込む。
っていうかみんなの重い荷物で既に海面ギリギリなんですけど!?
乗り込む時点で海の中入ったから膝から下びしょ濡れなんですけど!?

とはいえ海の向こうにはギリ島の明かりが…!

覚悟を決めてボート出発!!エンジンがかかる!!

ブーーーーーン…
ブーーーーーーン…!
ゴォォオオオオオオ!!!!

アカンアカンアカン絶対飛ばしすぎやって!!
ただでさえ大荒れの日なんちゃうの!!
絶対アカン!
とはいえボートは進む!

ドォォォ!!

「「うわぁぁぁぁぁ!!!!」」

その時!爆音と共に船が大きく傾いた!!
僕から見える反対側の窓は完全に海に浸かり、大量の水が中に入ってきた!!

「助けて!」

誰かが叫んでボートは止まり、揺られる中海水をかき出した!
またボートは進むがここまで来るともうできる限り早く進んで欲しい!
ドンッ!ドンッ!!と海を進むボートはまるで海に殴られているようだ!

ドカンッ!!!

「「うおおおおおおお!!!!」」

船が壊れた!!! と思わず思った爆音が響き、今度はボートがぐるっと回転した!!

「「「あああああああああ!!!!」」」

みんな必死にシートを掴んで遠心力に耐える!!
ひっくり返って後ろを向いた状態でボートは止まった!

フランス人夫婦の奥さんは泣いている。
いやそら泣くわ!!

その後も何度も叫びながら、なんとかボートはギリ島に到着!
いやギリギリ過ぎる!ギリ島だけに!

到着したものの、今度は海に浮かんで上下に揺れまくるプラスチック製の桟橋(?)を重い荷物を持って渡らねばならない!

迎えに来てくれた男が持っていたのはなんとロープ!
「これを掴んで進め!!」
無我夢中で進むと途中でなんか桟橋壊れてますけど!?

ジャンプするってことか!?いや飛べる距離ちゃうて!!
と思ってると男達が薄い板を置いてくれた!

いや頼りなさ過ぎる!
すると!

「ロープを掴め!!!」

ザパァァンッ!

めちゃくちゃ揺れる!!耐える!!!!
ってロープの男も板も海落ちてるやん!!
え、ねぇ大丈夫!?

どうやら板を渡るのは海が引いたタイミングらしい!
荷物を先に渡し、何度かロープを掴んでタイミングをはかり、前のお姉さん行ったー!
無事渡れてる!!

僕も荷物を渡してタイミングを待つ!いや怖すぎる!!

ザザザザザザザ… 海が引く!

「「来い来い来い!!」」
たーまん「分かってるって!!」

心の中で叫びながら板を渡ったぁぁああああ!!!!
渡れたぁぁぁあぁぁ!!!
うおおおおおお!!!!
生きてるううううううう!!!!

なんとか到着!!ギリ・トラワンガン島!!!!

砂浜に降り立った8人は喜びに震えながら到着というか生存を祝った!!!!
その後宿を取ってなかった僕は宿を探し、皆も超遅いチェックインをして、8人の戦友は共に祝杯をあげたのであった!!!!

つづく