たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.125

ペルー ジャングル 生活編

【徒然!!ジャングルでの日常!!!!】

前回紹介したジャングルでの1ヶ月。
ロヘルとミツさんというシャーマン2人の施術を受けてはいたのだけれど…

何しろ電気もなければ電波もない。
全く何もないジャングルの中、我々は無限にあろうかという時間を過ごしていた!!

「何もしていない時間」という時間には基本的にハンモックに揺られていた。
ハンモックのとてつもない快適さをこの時に知ってしまったともいえる。

スマートフォンの充電がとても貴重だったため、ジャングルで生活していた時の写真は少ないのだけど、それでもハンモックに乗った写真はそれぞれたくさんある。

前回から出てくる写真に写る僕がだいたい半裸で申し訳ないのだけれど、水着で行う朝の薬草浴びを乾かしながら、そのままずっと半裸で生活していることが多かった。

とはいえ下半身の方がたくさん蚊に刺されていたので不思議である。

ハンモックに乗ってる以外の時は、僕は一人でずっと歌を歌っていた。
誰もいないジャングルの中で、自然の音と共に歌うのはめちゃくちゃ気持ち良い!

静かだからあこちゃんやミツさんには聞かれてたのだろうけど、とにかく気持ちの良い時間だった。

この後からは、それ以外の時間について紹介したい。

シピボ族の子どもたち

施設の管理人であるミシェルの子どもたちや、たまに来る彼らの友達とは、一度遊んでからというものすっかり仲良しになった。

時にはひっつき虫を相手につけるために走り回る熾烈なバトルが行われたり…
(僕は半裸な上に水着だったので、彼らに勝ち目はない。)

あこちゃんによるネイル講習が行われた日には、お姉ちゃんが自分だけでなく僕の足にもネイルを塗ってくれたり…
めちゃくちゃ嬉しそうなお姉ちゃんと、周りで見てるボーイズたち。
こういう構図はどんな国でも変わらない気がする。

こんな日々を過ごしていると、気づけば周囲を子どもたちに取り囲まれるようになった。
日記を書いていてもハンモックで寝転んでいても、気づくといる。

大きい魚が釣れると見せに来てくれるし、

小さい妹を連れてきてくれることもあった。
まぁしばらくしたら折り紙に夢中になってたけど。

ジャングルの貴重な思い出の中に彼らがいる。
彼らのおかげで、我々2人だけじゃ生まれなかったかもしれないキラキラした賑やかさや、希望に満ちた時間を過ごすことができた!

ありがとう!!!

日時計

時間が分からないことに苦労した僕は、めちゃくちゃ単純な発想で

たーまん「日時計を作れば良いじゃん!」

と思い立った!
そしてできたのがこれだ。

できる限りまっすぐな棒を探してきて、蚊取り線香の空き箱に突き刺したその名も「ジャングル日時計」!!

最初のうちだけスマホの電源を入れ、正確な時間を書き込めば完成だ!
これで時間が分かるぞ!!

……と思いきや、日に日に影の位置がずれていく…
あれ…同じ場所に置いてるはずなのになぜ…

そう、気付いてなかったが本来の日時計とは…こういうやつ。

傾きが必要なのだ!!!
貴重な電力をジリジリ消費しつつ、数日の間は時間を計り続けていた。

めっちゃもったいねえ!!!
そしてあこちゃんにドヤ顔しまくっていたのが恥ずかしい!
次回ジャングルに来る前には、必ず日時計の作り方を調べることにしよう。

ハキリアリを追え!

人間はほとんど怠け者しか存在しないこの施設だが、見渡すといつでもバリバリに働いている奴らが足元にいる。

それがハキリアリだ。

よくジャングルのドキュメンタリーを観ると登場するお馴染みの生き物。

なぜわざわざ葉っぱを切って運んでいるのかというと、巣に持ち帰って穴の中に敷き詰め、水分量を調節して湿度を一定に保ち、キノコを栽培しているのだ。

マジで!!?
もはや恐怖。

キノコの栽培なんて人間だけの取り柄かと思っていた。
彼らの主食は葉っぱではなくキノコだ。

行列も葉っぱを運ぶ力持ちや葉っぱの上に乗る偵察隊、外敵を攻撃する係など明確な役割分担がされている。

ここまではwikipediaでも分かることだが、実際に見ることで驚くのは、彼らが歩く道に細い道ができていること!

太い道があり、住宅街のような細い道もある。
雨になると、その道を水が流れて小さい川のようにも見える。

アリのめちゃくちゃ軽い体重で、植物が生えないほど地面が踏みしめられるなんてどれほどこの道を往復してるのだろうか!!

そして彼らはどこへ向かうのだろうか!!
我々はハキリアリのあとを追うことにした。

ハキリアリは想像以上に長い距離を歩いているらしい。
我々の住む小屋と反対側の開拓エリアの端までやって来た。

ちなみにこれが集約されたハキリアリロード。
完全に草が切り開かれている。

さらに先に進み、ついにゴールの巣まで辿り着いた!
蟻の巣というと入り口はだいたい親指ほどの太さの穴だけども、なんとハキリアリの巣は野球ボールくらい大きい穴だった。

そこにぐんぐんアリが吸い込まれている。
この下でキノコが栽培されてるのか…と思いつつ、我々のハキリアリ探検は幕を閉じた。

ピチョンを追え!!

毎朝、我々を美しい鳴き声で起こしてくれるのが「ピチョン」だ。

「ピチョン」とは我々が勝手につけた名前だが、本当に水が跳ねるような「ピチョン」という美しい音が、明け方ジャングルに響く。

しかし全く姿は見せてくれない。
ジャングルでの生活が長くなった僕は鳴き声を聞くと、どの木にその鳥がいるのか判別できるようになっていた。
それでも鳴き声が反響する「ピチョン」に関してはなかなか居場所を掴めない。

なんとかこの木にいることだけは突き止めたけれど…

果たしてこの木のどこにいるのかも「ピチョン」の本当の名前も、結局は分からないままだった。
我々がジャングルを想う時、真っ先に思い浮かぶのは「ピチョン」の鳴き声だ。

大蛇を追え!!

とあるアヤワスカの儀式の日。
あこちゃんは以前までの儀式中に感じた出来事で、アヤワスカに恐怖を感じたり悩みがあったりして、その日の夜の儀式に参加するかどうかを決めかねていた。

そんな中で迎えた昼すぎ。
ハンモックに寝転んで本を読む僕にあこちゃんが声をかける。

あこちゃん「ねぇ、ちょっと、すごいことになってる。ちょっと」
たーまん「なにがー?」

僕は振り向きもせずに応えた。

あこちゃん「ちょ、ゆっくりこっち見て。」

たーまん「!?」

振り返ると、同じくハンモックに寝転がったあこちゃんの前に、見たこともないほど巨大な蛇がいた。

全長は確実に2〜3メートルほどある、完全な大蛇。
驚くことに首をもたげた大蛇とあこちゃんが、少し離れて見つめ合っているではないか!

あこちゃん逃げて!!

と叫びたいところだが、不思議なことに、そこには野生と対峙したときの恐怖や焦りは一切なく、何故か穏やかで、とても神聖な雰囲気が流れていた。

シピボ族がいるこの地域のジャングルでは、アナコンダを神の使いとする宗教観があることを知っていたから余計にそう感じたのかもしれない。
しかしそこには、確かに蛇の方があこちゃんを諭すような、何かを伝えようとしているような不思議な時間があった。
(この時の蛇はアナコンダではないと思うけれど)

僕が慌てて小屋に戻り、スマホの電源を入れてシャッターを押す直前まで蛇とあこちゃんは向かい合っていた。
その後写真を見た子どもたちや大人も蛇の大きさに驚いていたので、常識が通用しないジャングルにおいても間違いなく大蛇と言えるだろう!

子どもたちはその後ジャングルを大捜索していた。
(危ない探すな)

たーまん「もしかしたら蛇が儀式受けなって言ってんのかもよ」

なんて言ったせいか、あこちゃんはその日のアヤワスカの儀式を受けることにした。
翌朝には

あこちゃん「あぁ、なんか色々わかった。もう大丈夫だわ。
なんか、ワンダーウーマンの気分!!」

と言っていたので、儀式を受けて良かったのだろう。
とても美しく、神聖なものを見た気がする。
たしかに蛇が神の使いとされることにも納得のワンシーンであった。

生き物はアリやヘビだけじゃなく沢山周囲にいた。

毎晩ホタルを眺めていたし、あこちゃんはアルマジロに遭遇していた。
またミシェルが貸してくれたヨガマットの下にはミツバチが毎日せっせと葉っぱを運んできた。

どうして葉っぱを持ってくるのかは分からなかったが、とにかく飛んでくる度に癒しをくれる存在であった。

やっくん

やっくんは、ミツさんの息子さんだ。 現在3歳。 ジャングルで生まれジャングルで暮らす唯一の日本人なんじゃないかと思う。

彼は素直をそのまま人の形にしたような人物で、風がふくと

やっくん「風だ!風が拭いてるね!!気持ち良いね!!」

と喜び、雨が降ると

やっくん「雨だー!!」

と雨を喜ぶ。
こんな場所で暮らしていたら風が吹くことも雨が降ることも日常茶飯事だろうに、彼はその一つ一つを喜び楽しみ、感情のままに口にする。

こんなに自分の感情に素直な人間を見たことがない!
彼と過ごす時間もまた、様々な発見に満ちた時間だった。

ジャングルを旅立つ日

約束の1ヶ月が経ち、我々はいよいよこの施設から出て、元いたプカルパの街へと帰ることになった。

来たときには船で来たけれども、実は陸路でもプカルパの街へと戻れるそうだ。
ミツさんに頼んでモトバイクを手配してもらうと、運転手からは早朝に迎えに行くことを条件にオーケーされた。

そしてその時に現在のプカルパの様子を聞いたのだった。

ミツさん「なんかさ、ペルーは今鎖国してるらしい」
たーまん「どういうこと!?」

ミツさん「新型コロナがヤバくて、特に隣のエクアドルで大流行してるのを、国内に入れないように全ての国と国交を制限してるらしい。」

ミツさん「外出も禁止されてて、月水金が女性外出禁止、火木土が男性外出禁止、日曜日は全員外出禁止だって。」
たーまん「観光とか言ってる場合じゃないじゃないですか」

ミツさん「朝ならバレずに迎えに来れるかもってさ。お願いする?」
たーまん「お願いします!街にいれなさそうだったら帰ってきます!」

たーまん&あこちゃん「お世話になりました!!」

ミツさんからは薬草を入れた香水のお土産を頂いた。

最後までいないロヘルはともかく、ミツさんにお礼を伝えてプカルパへと出発する。
ここでの日々は、一生忘れられないものになるだろう。

眠い目をこすりながら、子どもたちも送りに来てくれた。
ぬかるみでハマるモトバイクを降りては押しながら、プカルパへと戻る。

運転手さん「マスクをつけてくれ。捕まるからな。」
たーまん「え、捕まるの?」

運転手さん「殺人ウイルスを人に振り撒くから、コロナ関連の違反は全て殺人未遂だ。」
たーまん「マジか。」

ちょっと知らない間にとんでもないことになっている。

そしていざプカルパに到着した我々は驚愕した。
人が誰もいない。

つい1ヶ月前まで大勢の人が道を歩いていたのに…!
我々がジャングルにいる間に、この街にはとてつもない変化が起きたらしい。

運転手さん「そういえば…どこの宿も新規じゃ泊めてくれないとは思うけど、お前ら行くあてあるのか?」

たーまん「えーと…」

我々はひとまず、1ヶ月前に泊まった宿に向かってもらうことにした。

つづく