たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.122

エクアドル グアヤキル編

【挑戦!!凶悪都市グアヤキル!!!!】

あこちゃんと共にガラパゴス諸島を満喫した我々はエクアドル本土へと移動!

飛行機に乗り込み…

着陸。

凶悪都市 グアヤキル

到着したのは「グアヤキル」というエクアドルで2番目に大きい都市。
ちょうどお腹の空く時間帯なので、普段ならさっさと荷物を持って空港から街へと向かうところだ。

たーまん「………空港のマクド行く?」
あこちゃん「……いいね!」

しかし、我々は街に出るのを恐れていた。

何を隠そう、到着したここ「グアヤキル」の別名は凶悪都市!!
エクアドル国内で最も治安が悪いとされている場所なのだ!

これまでも南アフリカなど、治安の悪い街に滞在してきたことはある。
しかし他のバックパッカーたちから聞く南米の治安エピソードは次元を超えたものばかりなのである!!

僕が実際に聞いたエピソードを紹介すると…

《南米を旅したバックパッカーAさんの場合》

Aさん『宿に向かうためにバスに乗ろうと停留所に行ったんです。
 そしたらまだ数分、バスが来るまで時間があったんですよ』
Aさん『散歩がてら次の停留所まで歩くかー。
 その時は何気なくそう思って歩き始めました』

Aさん『するとすれ違った男性に無言で突然頭を切りつけられたんです!
 飛び出す血が見えました。衝撃で転倒したところ、僕の荷物と財布を持って彼は立ち去りました。
 死んだと思ったんでしょうね。身ぐるみ剥がされたのに「助かった…」と思いましたよ』

《南米を旅したバックパッカーBさんの場合》

Bさん『普通に人通りの多い大通りを歩いていて、近道するのに横道に入ったんです。
 気づいたら前と後ろを男4人に囲まれていて、ボコボコに殴られました。』

Bさん『服も破られほぼ裸でしたが「iPhoneだけは死守しなければ…!!」と必死でiPhoneは守り抜いたんです。
 彼らも一番の目当てはiPhoneだったと思います。』

Bさん『病院を探したくても手も動かないし、スマホが操作できない。
 すると親切な人が通りかかって「大丈夫か!?貸してみろ救急車呼んでやる!!」と言ってくれたんです。』

Bさん『彼は僕からiPhoneを受け取ると、そのまま走って逃げました。
 もう一生南米には来ない。そう心に決めた瞬間でした。』

いや南米恐ろし過ぎるやろ!!!!

とにかく南米は治安が悪い。というエピソードを沢山聞いていた。
そんなエリアの中でも屈指の治安の悪さを誇るグアヤキルに来るなんてヤバ過ぎる。

しかもこちらは大荷物を引きずる世界最弱バックパッカーあこちゃんを連れている。
彼女を守り抜きながらこの街で安全に過ごさなければならない…!!

あこちゃん「バーガーなににする?」
たーまん「え、あぁ、マッシュルームバーガーなんて初めて見たな。じゃあこれで」

何が起こるか分からない…

緊張感を持たねば…

あこちゃん・たーまん「マッシュルームバーガーうまっ!!!!!」

マッシュルームバーガーうまっ!!! なにこれ!!!

あまりの美味しさにおかわりしたわ!!!
日本でも販売してくれよ何このバーガー!!超うまい!!

マッシュルームバーガーのおかげで多少緊張をほぐされた我々はビビりつつ、空港からタクシーに乗り込んだ。

普段タクシーを使う機会は少ないが、今回は安全のためタクシーで宿に直行したい。

(長く滞在する場合は宿への直行も控えた方が良いし、本当はタクシーも危ない。
我々は明らかに仕事にしていそうで評価の高いUberドライバーを選び、追加料金で空港まで来てもらうという方法にした。
財布を出さず決済ができるし、客から低評価や被害報告を出されるとUberからの支払いに影響するはずだからだ。)

ガードマンもいる、普段よりお高めの宿の前にタクシーは停車。

早速チェックインしようとするも…ここでまさかの事態!

ガードマン「アジア人だろ。この建物には入れられない。そして離れろ。」

たーまん「どういうこと!?」

最初は差別されているのかと思ったが…違った。

我々がこの宿を訪れたのは2020年3月。
新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっていた時期である。

我々はアイスランドやガラパゴス諸島などなかなかに辺境な地域を巡っていたので、この異常事態に全く鈍感だった。

そういえば年明けにエジプトで、僕を見かけた子供が

「COVIT19ー!」

と煽ってきたことがある。

どういう意味か周囲の大人に聞いた時に「中国でやばいウイルスが流行ってるらしいぜ」と説明されて、僕は初めて新型コロナウイルスについて知った。

当時、南米で新型コロナウイルスは「殺人ウイルス」と認識されていたし、発祥が中国なのだからアジア人を警戒するのは当然である。

ガードマンが我々を拒んだのも家族と宿を守るためなのでおかしくはない。
宿の方針なら仕方ない…

ということで、我々はグアヤキルの街中で全財産を抱えながら行く先を失った!!

恐ろしいエピソードの数々が頭をめぐる!!

スマホを取り出したくない我々はガードマンに近辺にある宿の場所を聞きだして宿を巡り、なんとかアジア人を泊めてくれる宿を発見!!

ずっと緊張しながら移動を続けていたが、ついに荷物をおろし、安心できる場所に辿り着いた…

しかしまだ油断はできない。
宿に到着した僕が真っ先に取り組んだのは…

お金を隠す場所を作ること。

折りたたみ傘の収納袋と柔らかいプラスチックのカードケースをズボンの裏側に縫い付け、普通に履いていても目立たないようにした。

僕の短パンはエジプトで買ったボロなので、どこの地域でもわざわざ欲しがる奴はいないはずだ。

宿に荷物を置くのも危険なので、リュックは柱に縛り付けて鍵をかけ、パスポート・iPhone・米ドル札は折りたたみ傘の収納袋に入れる。

街で使うお金はエクアドルの通貨で別の財布に現金で持ち、万が一の際には財布ごと渡せるようにした。

何かあった時のために裁縫セットを持ってきておいて良かった…

しかしこれで準備は万端!
いつでも街に繰り出せる!

たーまん「…………」
あこちゃん「…………」

いや怖い!!!!
全然気持ちの準備ができてない!!!!

おもむろにあこちゃんが窓を開ける。

あこちゃん「…ここが凶悪都市、グアヤキルやで」
たーまん「ふっ、俺たちの隠れ家にはちょうど良い。」

あこちゃん「………」

たーまん「……窓、閉めるか。日本人がいるとかあんま思われん方が良いし」
あこちゃん「そうだね…」

ビビり倒してる!!!
せっかく世界の果てまで遊びに来てるのに、部屋の中で寸劇を始めるくらいにはビビってる!!

しかし時間は過ぎていく。
外に出られない我々は…

部屋の中、ポケモンGOで遊んで時を過ごした。

何しに来たの!?
お金隠す意味あったの!?
そしてポケモンGOは外で遊ぶゲームだよ!?

晩御飯もまともに食べに行けない我々は…
Uber eatsで注文!
ホテルのフロントまでマッシュルームバーガーを持ってきてもらった。

Uber eatsありがたい!!
そして何よりマッシュルームバーガーがうまい!!!

グアヤキルの街中

完全にビビりながらも、マッシュルームバーガーに癒されて朝を迎えた我々。
日が登って明るくなってくると、なんとなく恐怖心は和らいできた。

警戒しつつも、街に出てみることに。
普段はあまり人が立ち寄らないような場所が好きなのに、この時だけは

たーまん「とにかく人通りが多いところ!他にも観光客がいそうなところを目指そう!」

と、早歩きで辿り着いたのはビーチサイド!

おーーーー、まさか凶悪都市にこんなモニュメントがあるなんて思ってもみなかった。
しかも、割と整備されていて綺麗である。

我々も写真を撮ったが、スマホを身体から離して持つことが怖い。
盗られる前に壊れるんじゃないか、というほどギチギチにスマホを握りしめて撮影した写真がこちら。

めちゃくちゃ身体に力が入っている。

見渡してみると、ビーチサイドにいる人々はみんな同じ方向に向かって進んでいるようだ。

流れに乗らない手はない。
というかこの人混みの中に紛れていないと怖い。

人の流れに沿って進んでいくと、現れたのは大きなショッピングモール!!

出入り口では当然のように手荷物検査が行われ、続々と人が入っている!

たーまん「あそこに!!めちゃくちゃ安全そうな場所がある!!!」
あこちゃん「手荷物検査ってありがたい!!」

ショッピングモールの中はどこも明るく綺麗で、手荷物検査も行われていることからあからさまに銃や刃物を持っている人はいないはず。
ちゃんと気をつけていれば安全だ。

日本では当たり前の前提条件で、こんなにも安心できるとは…

日本って本当に良い国だなぁ…
ショッピングモールの品揃えに感動して写真まで撮ったけれど、これも日本のホームセンター行ったら同じような景色が広がってるもんなぁ。

まぁ、日本と違う点をあげるとすると、店の入り口にそこそこの大きさのスピーカーが置いてあって、爆音でBGMが流れ続けているところかな。

彼ら、この爆音が集客になると本気で信じてる!!
そして実際に音楽が良いとつられて入店する人がけっこういる!

日本で飲食店のマーケターをしていた僕は、どうしたら人がお店に入りたくなるのかをよく考えていた。

そうか、爆音でBGMを流せば良かったんだ…
まさかこんなところで答えが見つかるとは…

そんな僕もしっかりこちらの服屋さんに入店。
やはり爆音BGMは効果があるらしい。

店内にはたくさんの服が並んでいる!
なんとなく眺めていると、タグが目についた。

「2EG」ってなんやろ…
と思いつつ後ろのを見ると

そこには「3EG」という表記が。

なるほどね!
エクアドルではサイズ表記が「EG」で表されるってことか!
大きくなればなるほど数字が増えるってことね、分かりやすいかも!

「3EG」の後ろには「4EG」もあった。
新たな世界の文化を知った気になっていると…

あれ!?

普通に「M」もあるやん…
Mサイズやと「2EG」あたりじゃないんか…?

同じブランドやけど、これだけ輸入物ってこともなくはない…?

と後ろのを見ると

まさかの「P」!?
「P」って何の略!?どういうこと!?

「EG」の単位だけじゃなく「M」と、よう分からんけど「P」もあるってことか…
これは混乱してきたぞ。

男性ものと女性ものの違い?
いや明らかに男性コーナーやしな…

と、お次は近くにある短パンに手を伸ばしてみた。
こちらには

「T.P」!!
もはや「P」ですらなかった!!

「P」の別バージョンか!?もしくは親族か!?
いやサイズ表記にバージョンも血の繋がりもない!!

この後ろには何が!?

「T.M」!!!
はい、「P」の親戚説は無くなりました!!

そもそも「T」の謎も解決できてないけどね!!

でもさっきも「P」と「M」は並んでたぞ!?
これは何か規則性が…
この次が分かれば何か掴めるはず…!!

もう適当にアルファベット並べてない!?
なんでここで初めての「G」出てくんの!?
最初の数字はどこいった!?

ていうかどっちにしろサイズ細かすぎんか!?
これみんな分かってんの!?

「服のサイズ?うーん、だいたいT.GかPかなぁ」

みたいな会話があるってこと!?
これの次のサイズ表記は!?

「T.EG」!!!!
合体技きたーーー!!!!

最後の最後にまさかのアルファベット3つ並べてきた!
どんな意味が隠されてんのかは分からんけど、ぜったい最初の「1EG」「2EG」で統一する方が分かりやすいって!!

なんなら「EG」もいらん!!
数字だけで良い!!

サイズ表記の謎に翻弄され混乱し、今にも宇宙の真理に辿りつきかけている僕のもとにあこちゃんがやってきた。

あこちゃん「そろそろ宿に戻ろうか!」

この日の夜に出発する夜行バスに乗り込み、陸路で次の目的地であるペルーに入国する予定なのだ。

たーまん「そうね、折角やから晩御飯食べていくか!」
あこちゃん「マクドナルドあったよ」

たーまん「いやもういいでしょ!でも最後にマッシュルームバーガーは食べときたい!」

マッシュルームバーガーはマジでうまい。
もはや脳が洗脳されている。

結局我々は中華料理を買いに行った。
世界のどこにでもある中華料理、親しみやすくてありがたい…

アジアの雰囲気に浸れる。炒めごはん最高。

料理を食べていたすぐそばにはガラス張りのピアスのお店があり、女性が耳にピアスの穴を開けている姿が見えた。

たーまん「丸見えやなぁ。俺も開けてみよっかなぁ。」
あこちゃん「いいね!開けなよ!」

行動力レベルが振り切っているあこちゃんは何でもない一言を聞き逃さない。
もう立ち上がって行く気満々である。

たーまん「いや待って!2回くらい開けたことあるんやけど、速攻穴が閉じる体質なのよ」

僕は身体の回復力レベルが振り切っているので、ピアスの穴など放っておくと数日で完治してしまうのだ。
不死身なのである。

たーまん「それに恐ろしいやろ…グアヤキルで身体に穴って…衛生面が心配…」

あこちゃん「でもグアヤキルでピアスの穴開けた日本人なんてそういないよ?」

僕は速攻立ち上がってピアスの穴を開けて帰ってきたのだった。

たーまん「この穴は閉じないように大事にしよう」

腫れもしなければ膿みもしなかったので、むしろ衛生面は完璧だった。
グアヤキルのみなさますみません。

(衛生面が心配な地域でのピアスは破傷風の危険があるので、本来はやめた方が良い!!
 たーまんはたまたま不死身なだけです)

ペルーへと移動

夜。 またもビビりながら全財産を持ち運び、夜行バスへと乗り込んだ。

かなり綺麗なバスである!

しかも前からお姉さんがドリンクを配ってくれる。
配られたドリンクは…

インカコーラ!!
まさかエクアドルで出会ってしまうとは!!!

インカコーラとはペルーで製造されている大人気のコーラのこと。
製造工程で薬草などが使われており、ペルーではコカ・コーラを押しのけ国内シェアぶっちぎりトップを記録している謎のドリンクなのだ!

しかも現在はコカ・コーラ社と事業統合しているので、コカ・コーラ社がペルー向けに製造している限定コーラといった位置付け。
めちゃくちゃ大手なのに知名度は全くない。
(一応ペルー以外の国向けにも製造しているらしい)

このバスはペルーとエクアドルを結んでいるので、ペルーで仕入れてきたのだろう。

早速飲んでみた!!

けれど、普段全く炭酸飲料を飲まないのでコカ・コーラとの違いが分からない。
なんか薬草と言われるとそんな気がせんでもない…
どことなく爽やかな感じがするような…

あこちゃん「あんまコカ・コーラと変わんないけど、甘くて炭酸が弱い感じかなぁ」

素直に「うまい!」と言えなくてごめんよ。インカコーラ。

もしかするとマッシュルームバーガーのせいで「うまい!」のハードルが上がってしまっているのかもしれない。

マッシュルームバーガーはマジでうまい。

凶悪都市グアヤキルとおさらばし、夜中には無事国境へと到着。

ここから先はペルーの国内だ!
陸路での出入国にも慣れたものだけど、やはりいつまで経っても特別な感じがする。

この後ペルーでは様々な事件が起こり、予定外に世界旅中で最も長く滞在する国となった。
この時の我々はまだ、これから何が起こるのかを何も知らない。

未知の国ペルーへの入国。
我々はまた、新たな国へと足を踏み入れた。

つづく