たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.67

スペイン_マドリード編

【牛追いのその先!!2人の旅人の決断!!!!】

スペイン。
ロス・レイエスという街で「牛追い祭り」に参加し牛に追いかけられたものの、なんとか生きていた。

パパさん「めっちゃ走ってたね!最初全然走り出さんからビビって固まってんのかと思ったよ」
たーまん「ちょっと引きつけてから走ろうと思いまして…」

僕の近くで吹き飛ばされたり、牛に突っ込まれたりしていた人たちは担架に乗せられ搬送されていった。
2人とも息はあったようだが、確実に骨折くらいはしてるだろう…
突っ込まれた人もまさか壁にまで牛が突っ込んでくるとは思わなかったろうな…

無事に終わって良かった…が…終わってみるともうちょっと走れたんじゃないか?
なんて思えてくる。きっとまたリベンジしに来よう!!

そういえば「闘牛場まで走る!」と豪語していた参加者Bさんは無事走り通したのだろうか…
なんて考えながら、僕とパパさんは少しゴールに近づき、みんながそうしてるように壁の上に座った。

これから子供の牛追い祭りが始まるそうだ。
子牛とかと走るのかな?なんて思っているとそうではなく、大人が先端が牛の頭になっている滑車を押して子供を追いかける、というものだった!!

これむしろしんどいのは大人の方じゃない!?

大人たちは結構な勢いで子供を追いかけ、子供達は真剣にビビりながら走っている。
アドバイスをくれたベテランおじさん達も子供の頃からこうして訓練されていたのか…

子供の牛追い祭りが行われると、その後はみんなコースに降りてしっちゃかめっちゃかな状況に!!
更にはサーカス団も行進して来た!!

僕とパパさんはしばらく様子を楽しんでいたが、人ごみに疲れてきたので宿のあるマドリードに帰ることに。

マドリードに着いてからは、そのままアルムデナ大聖堂という聖堂を観光しに向かう。

パパさんはこうして観光名所を押さえることを忘れない。
僕1人で行動していれば、ほぼ間違いなく今日は宿に帰るか、この後はダラダラ公園とかで過ごしていた気がする。

とはいえマドリード王宮と向かい合って立つこの聖堂には王宮との間に広場があり、結局僕たちはそこで長い時間を座って過ごしたのだった。

そして宿……

パパさん「この後はどうしよっか?」
たーまん「うーーん…」

相談してるのはこの後の我々の行動計画である。

実はこの牛追い祭りへの参加後、僕らが行く予定をしていた祭り「カスカモラス」の開催までにはびみょ〜〜な日程の開きがあった。

ちなみにカスカモラスとは南スペインで行われる祭りであり、おもしろい起源がある。

むかしむかし、ある村の若者が隣村で由緒正しい聖母像を発見。
喜んで持ち帰ろうとするも聖母像は発見された隣村に安置することが決定される。
怒った若者たちは徒党を組んで隣村を攻めるが、全身真っ黒な油まみれになった隣村の村人たちは丘の上から若者たちを追いかけ、卵などを投げつけ撃退した…

というエピソードが発祥である。
この時隣村を攻めた若者たちのリーダーこそ「カスカモラス」という人物で、村人たちによる泥まみれならぬ油まみれの闘争は3日間に及んだそうだ。

結局聖母像は隣村に安置されることになったのだが、この3日間を忘れられない人々が毎年油まみれでこの争いを再現することになり、トマティーナ油版、のような祭りが根付いてしまったということだ。

「牛追い祭り」というビッグイベントを終えた僕たちの「カスカモラス」へのモチベーションは、正直そんなに高くなかった。 というのも…

ちょっと前にトマティーナを経験してるので
「全身ぐしょぐしょではしゃぎ回る祭りって大体こんな感じだろう」
がありありと想像できてしまうのだ!!!

しかもトマティーナで全身トマトまみれになるしんどさを経験した僕たちは、また近日中にイカ墨のような真っ黒油でぐしょぐしょになる気になれなかったのだ!!!

パパさん「めちゃくちゃ行きづらいとこに村あるんだね」
たーまん「そうですね…しかも調べてみたら、宿なさそうです。少なくともネットには登録されてない…」
パパさん「え、マジで?」

カスカモラスの行われる村周辺には、ちょっと調べただけじゃ予約できるような宿はなさそうだった。

パパさん「てことは…」
たーまん「現地に行って、まず足で宿探しから…って感じですね」
パパさん「なるほど、大変そうだね」

(正直めんどくさいな…)
というムードが部屋に流れていたが…

パパさん「うーーん、まぁ、行けたら行こうか…」
たーまん「うん、行けたら行きましょう!!」

めちゃくちゃ便利なワードが出たところで、僕たちの「カスカモラス」への不参加は実質決定した!!!!

パパさん「そしたら、祭りまではどうする?俺はスペイン、他にも見て回りたいとこあるんだけど、一緒に行く?」
たーまん「いや、僕もうちょっとマドリードに残ろうかなと思います!」
パパさん「そかそか!そしたらまた別行動だね」

フットワークのめちゃくちゃ軽いパパさんはガンガン次に進むのだが、僕は一箇所にしばらくいたいタイプなのだ。

なんだか、ある程度自分の旅のスタイルが確立されてきていた。
そして不思議と、誘われたらNOと言えない男界代表である僕は、ここで簡単にNOと言えた。

パパさんと過ごした時間は数日のみだったが、不思議と気を使わずにいれる仲になっていたのだ。
この後にも僕は沢山の旅人と出会うのだが、何故だろう、短い時間しか共に過ごしていないのに、彼らをちょっとした家族くらい身近な存在に感じてしまっているのだ。

おそらくお互いにだと思う。

同じ境遇で同じような趣味を持っているからなのか、もしくは、お互いにとって未知の体験を共有するからなのか…
不思議なことだけど、僕はパパさんとの関係が、ここで簡単にYESというよりNOと言ったことでより深くなったと感じた。

素直な一個人として旅をして、そこでまた一個人となった人と過ごす。
こうして僕はまた1つ、新しい自分を発見したのだった。

つづく