たーまん世界を歩く

ただただ忙しく過ぎていく社会人生活に、漠然とした焦燥感を覚え、昨年秋に一念発起して退職しました。
そして半年間、寝る間を惜しんでリゾートホテルの住み込みバイトで貯金し、2019年6月1日、関空から出発。
目的は、これまでの人生で知らなかったことを見聞きすること。世界見聞家・たーまんの誕生です!
カタコトの英語と予算約100万円での旅はYouTubeでも配信中ですが、映像に入れられなかったことを
こちらのブログで紹介していきます。たーまんの珍道中、応援よろしくお願いします!

Vol.6

バヌアツ編 ⑤

ぶりっ「あっ、やばいっ」

早歩きした途端こんにちはしてしまった。
もう、先遣隊が外の様子を伺いに来ている。

「あっ、これは、やばいなぁ…」

それでも森をかき分けトイレを目指す。
朝露に濡れた葉で足元はビショビショだが関係ない。

正確に言えば額も冷や汗でビショビショな上に肛門はギリギリ(アウト)。

それでも俺は…!
ゴールまで…!
トイレまで…‼︎

そして小屋に辿り着く!

「きた‼︎‼︎やっとや‼︎‼︎‼︎
なんとか辿り着いた‼︎‼︎‼︎」

溢れる達成感を噛み締めながら中に入る。

「……………」

「嘘…やろ……?」

そこは物置小屋だった。
完全に迷っていた。

真っ暗な森の中、猛烈な便意を抱えながら道に迷う恐怖を皆さんご存知だろうか?

上は洪水、下は火事☆
これなーんだ?

的な状況がリアルで襲ってきている。

答えはお風呂☆
いや、そんなん今はどうでもいい。
とにかく冷静に、頭をクールに保つことが最優先…!
その為には…

…いや…さ、
まぁここ、森ですよ?

地面は土で、朝露に濡れてる…
我々人類は文明を手にし、今やコンクリートジャングルで眠ってるけどさ、昔はこういうとこで寝起きしてた訳よな?
果てにはさ、こういうとこで食事を取って、こういうとこで仲間と交流して、こういうとこで、

うんこしてた訳よな…?

地面って何?
もしかしてうんこなんじゃね?
何世紀にも渡って蓄積されたうんこなんじゃね?

世界って、うんこなんじゃね?

じゃあトイレって?
トイレって何?
排便して良いとこがトイレ?
それならもう世界はトイレやん‼︎‼︎

ここはさぁ、物置小屋でも人の家の庭でもねえよ‼︎‼︎
トイレや‼︎‼︎‼︎

急いでズボンを下ろす。

そして1分後…

便意は…消えた。

それにしても、立派なものだ。
毎日食物繊維を腹いっぱい摂るとこうなるのか。

しかし急ぎのあまりトイレットペーパーを持ってきていない。
デカめの葉っぱを千切って尻を拭く。
なんか濡れてるし、ウォシュレット兼用やん、一石二鳥やん。
もう、そんなもんじゃ焦らねえよ。

既に"こっち側"に来ちまった…俺はな。

さて、この森からどうやって帰るか…
俺が通った道は葉っぱが倒れてるから、そこを辿れば戻れるはず!
さて戻ってもう一眠りするか…

ザクッザクッ
森を戻ってると…

「えっ」

現れたのは真っ黒く動く大きな塊。
4本の脚を持ち、鋭い瞳。

そう、家畜の親豚。

「死んだ。」

なぜ奴がここに⁉︎
柵の内側にいるはずじゃ…
え、森側には柵ないの⁉︎

豚って温厚なイメージやけど待って、めっちゃ怖いやんけ‼︎

もしかして、神なの?
森を汚した俺に罰を与えに来たの?
俺は仔羊なの?

儚い…人生やった…

そうこうしてると、
「エイ!ヘイ!※◯△‼︎」

家の主人ジョンさんが現れ、豚を追い払ってくれたーーー‼︎

「ぁぁあぁあぁありがとう‼︎‼︎」

「ハハ、トイレ行く時は言えって言ったろ?場所は分かったか?」

「えっ、あっ…うん、分かったよ…」

「そうか兄弟!お前はここでも生きていけるぞ!ハハハ!」

「…………」

こうして無事、
「異国の地でトイレに間に合わず脱糞したクソ野郎。」
どころか、

「 異国の地で家の主人を叩き起こしトイレに向かった挙句脱糞。その上庭に野糞したクソ野郎。」

という美しすぎる肩書きを手に入れたのであった。

たーまん