
前回のパティシエ・H.スミノの塩サブレに引き続き、大人のためのスイーツをもう1品挙げたい。
京都ホテルオークラの1階にあるカフェ・レックコートは、軽食と喫茶だけでなく、ホテルデリカのテイクアウトコーナーがある。海の幸のテリーヌやオードブルの盛り合わせ、季節のスープ、ローストビーフ、ハンバーグに特製ビーフカレーなどに加え、もちろんパンやスイーツ類も豊富で、前菜からデザートまで完璧にディナーの用意ができるラインナップとなっている。
この一角にそっと置かれている、黒っぽい板状の固まりが『パン・ドゥ・エピス』。塩サブレと双璧の、大人のためのスイーツである。
パン・ドゥ・エピスは、ヨーロッパの伝統的なお菓子らしく、昔から寒い時期になってくるとよく作られるものらしい。パンという名がついているが、蜂蜜がたっぷり入っているため、デザートの感覚で食べられている。が、特筆すべき点は蜂蜜による甘さなどではなく、その風味。このパン(ケーキ?)には、コショウを筆頭に、クローブ、ナツメグ、シナモンなど、いろいろなスパイスが入っているのである。
とくに、この京都ホテルオークラのパン・ドゥ・エピスは、スパイシーさがハンパない! 一口食べると、蜂蜜の甘みとスパイスの香りが広がり、続いてコショウの辛さが来る。飲み込んだあとには、口の中と喉がスースーして、胃が熱くなる。デザートを食べて、こんな違和感とおもしろさを経験をすることなど、他にあるだろうか?
私はこれを超薄切りにして、全く甘くない生クリームか、マスカルポーネなどのクリームチーズを添えて食べるのが好きである。下戸なのでストロングなコーヒーとともにいただくのが定番だが、きっと赤ワインやブランデーなどにも合うと思う。いずれにせよ、この味、子供にはわかるまい……。
2009年9月28日 |